顕微鏡歯科
埼玉でマイクロスコープを使った歯医者
マイクロスコープ
1999年南カリフォルニアで開かれた学術会に参加した時、初めて歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を見て「患部が大きく見える!」と感激したのを今でも思い出します。
日本に帰り、さっそく調べてみると当時は使い易く拡大される歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)はまだ日本に輸入されていませんでした。
あるにはあったのですが、暗く見え臨床には使いものにならなかったのです。
数年が過ぎ、白水貿易が ドイツ カールツァイス社のマイクロスコープを輸入販売したと聞き、2005年すぐに購入を決め現在も治療に役立てています。
のちに知ることですが、1998年AAE(American Association of End Odontists)では根管治療専門医の教育に手術用顕微鏡の使用は義務づけられています。
根管治療(根っこの治療)をしていると診断に窮することも多々あります。
患者さんが「何やらおかしい。」と訴えるのに レントゲンに写らない、患部を見ても症状に値する問題が見当たらない、いくら治療しても症状が消退しない、そのほとんどが歯根破折です。
歯根破折を疑っても確定診断に至らないのは、肉眼による観察では、破切線を発見することができなかったからです。
光と拡大
マイクロスコープは手探りで行っていた治療を光と拡大によって、見て治療することを可能にしました。
- 第一の眼の自分の眼
- 第二の眼のレントゲン
- 第三の眼の大きく拡大してくれるマイクロスコープ
この三つの眼をもって審美治療を進めていくことが治療の向上につながるといえます。
※根管治療とは 神経を取る、根っこの中を消毒する等の治療のこと。
※歯根破折とは 歯の根っこに、ひび、亀裂、割れ等があること。
※全国歯科医院数 約68000件 顕微鏡普及率2.9% (2014年現在)
マイクロスコープ(ミラーテクニック)が治療中必要な理由
21世紀に入ってから歯科は大きく変貌しています。その1つがMI(あまり削らない治療です)
MIを実現するために最も必要なことは、拡大視野下で大きく拡大して見ることにより最少の侵襲により細かな処置が可能となります。
2005年にマイクロスコープを導入し、毎日診療後に抜去歯牙を使って歯牙の形成、歯石の除去、根管治療、また鶏肉のささみを使って、切開、縫合の練習を繰り返しました。
最小限の侵襲で歯を削ろうと思うと、肉眼でも同様ですがマイクロスコープを使っても歯全体を直視することはできません。したがって多方面から確認しながら治療することになりますが、そのためにはミラーテクニックが必須です。
ミラー(鏡)をみながらの治療は上下が逆になります。上の歯の治療より下の方が難しく、毎日練習しました。
著名な脳外科医の福島孝徳先生(現在デューク大学教授)も、マイクロスコープを前に日に何時間も練習したそうです。
ミラーテクニックは、歯科の治療では基本的な技術であり、避けることなく研鑽にはげまなければと思っています。
※全国歯科医院数 約68000件 顕微鏡普及率約2.9% (2014年現在)
スワンデンタルクリニックの顕微鏡治療
「昔から、肉眼でやってきた治療をいまさら顕微鏡を使ってする必要があるの?」素朴な疑問です。
その時点でベストを尽くした治療であるのなら、その時点ではよい治療ですし、ベストな治療だったはずです。
しかし、現在、顕微鏡といった新しい器具が使えるようになりました。今まで、見えないことでわからなかったことが、わかるようになりました。見えることが、治療の進歩になれば、患者さんも術者も幸せにつながるとの思いで毎日仕事をしています。
今は、顕微鏡使用のもとで作りあげられた文献が、いくつもでてきています。医学は進んでいます。顕微鏡導入以前の論文の中には賞味期限切れもあるようです。
顕微鏡治療を受ける時の時間
顕微鏡下の治療は、症状が詳しくわかるので治療時間が延長する傾向にあります。そのため患者さんには心ならずも肉体的、心理的負担をお願いすることも多くなっています。
「頭の上に機械があります。いきなり起き上がらないで下さい。頭をゴッチとしますよ。」
これは私が毎日言うセリフですので、ずっと通院されている患者さんは聞き飽きたセリフだと思います。
患者さんが2cm頭をずらすと顕微鏡下で見えていた歯は、もう見えなくなります。治療中は、ずっと動かないようにお願いしています。
当医院で治療を受けていただいている患者さんは、皆さん協力的で大変感謝しています。
※全国歯科医院数 約68000件 顕微鏡普及率2.9% (2014年)
マイクロスコープと口腔内カメラの違い
マイクロスコープと口腔内カメラの違い
口腔内カメラとマイクロスコープは、似ているようで全く用途は違います。
口腔内カメラは、主に説明に使われ、マイクロスコープは治療に使われます。
口腔内カメラ
小型カメラが器具の先端についています。
器具の先の口腔内に入れる部分に口腔衛生カバーをかけて、患者さんが見えない、わかりにくい所を写します。
すぐに画像に映しだせますので、説明の時に便利です。
マイクロスコープ
マイクロスコープは治療に使う機械です。
前歯の唇(正面)は、そのまま見えますが、今回のような口蓋側(前歯の裏側)は鏡を用いて見ます。
部位によっては上下逆に見えます。
そんな面倒な機械で見る必要があるのか?
必要です。拡大できるのです。
(マイクロスコープ周辺器具、機械は衛生のためビニールカバーで覆っています)
きれいに見える歯も少しづつ亀裂がある感じです。
感じではなく、確認が臨床では必要です。
拡大してみました。切端(前歯の先)は咬耗と亀裂が見てとれます。
さらに拡大して見てみます。
患者さんの主訴、症状、年齢、食生活や生活習慣等をお聞きし、希望をふまえ治療の有無、方針を決定していきます。
拡大して見ることは、状態の確認、予後(将来の予見)の見通しにも役立ちます。
歯医者の口の中を見るってミラーってどんななの?
マイクロスコープ専用ミラーは、通常使っているミラーより、ずっと小さいです。
↑比べた写真
根っこの治療では、治癒がみこめず、オペに移行した症例
切って開いたところ。何もしていないのに、大きな穴です。骨が溶けてなくなっています。
この穴の中の状態を見たいので、マイクロミラーの登場です。
顕微鏡とマイクロミラーがなかったら、穴を大きく削らなければなりません。侵襲が大きくなります。
マイクロミラーを使って、根っこの中を確認しながら、治療を進めていきます。