○すれ違った香水の香りで、昔付き合っていた人を思い出した
○お香の香りをかいだら、京都のお寺を思い出した
○すれ違った香りで昔のことを思い出したけど、それが何だったか出てこない
こんな経験したこと、ありませんか?
それは、臭覚は、記憶と結びつく大脳辺縁系に直行しているからです。
嗅覚と脳
人間の感覚には、嗅覚、視覚、聴覚、触覚、味覚があります。この5つの感覚のことを、五感といいます。
人間はこの五感を大脳で感じています。詳しくいうと大脳辺縁系と呼ばれる部分で感じているのです。
嗅覚以外の視覚や聴覚などの感覚は、いったん脳の表面にある大脳皮質に到達し、そこから大脳辺縁系に伝わります。
しかし、嗅覚だけは大脳辺縁系に直行しています。
■ 嗅脳
かつては、大脳辺縁系のことをにおいを嗅ぐ脳という意味で「嗅脳」と呼んでいました。
この大脳辺縁系は、七千万年も前から私たちの先祖が発達させてきた原始的な脳の一つで、本能と直結している脳
といってもいいくらいです。そしてとても複雑な回路をもっていて、快楽や苦痛といった人間の感情的な反応や記憶にも強く結びついています。
たとえば、さわやかな香水の香りに昔の記憶がよみがえってきたり、嗅覚を失うと食欲をなくしてしまったりということです。
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■ 実験
実際に動物の大脳辺縁系を刺激すると、刺激された場所によって快感と不快感のどちらかが起こったり、たいへん攻撃的になるとかおとなしくなるとかという反応をあらわします。
私たちの日常生活や成長発達に対してにおい、香りが及ぼしている影響には、大きいものがあるようです。