奥歯の銀歯が目立つ!天然歯と同様なセラミックへ!!
わかりやすくするために従来のプラスチックのつめもの保険診療で使われているものをレジンという記述にしました。
現代社会のさまざまなニーズによって前歯部のみならず臼歯部においてもメタルフリーの修復物が求められていて、近年の接着歯学の進歩により臼歯にもより優れたセラミックIn,Onによる修復が可能になりました。
ダイレクトボンディングの欄にも記述したとおり、私はレジン修復にはもの足りなさを感じていました。
レジンは早期脱落、着色、2次うしょく(治療した所が再びむし歯になる)歯髄(神経)刺激等のいろいろな問題を かかえているからです。
保険のレジンは軟らかい!
そして私が最も気になる問題点は、レジンの脆弱さです。
いくらメタルフリーが求められていても臼歯部の咬合面(かむ面)にレジンで修復するということは咬合(かみ合わせ)を崩壊させる最たるものです。
プラスチックは軟らかいのです。あっという間に溝がなくなり、顎位が低くなります。1度崩壊した咬合を元に戻すことは至難の技です。
「保険で奥歯を白くして欲しい。○○歯医者はやってくれた」という患者さんの言葉は私にとって歯科医療が世の中に正しく伝わっていない事を知ると同時に歯科従事者の中にはその場限りの治療でよしとする者がいることをあらわす言葉ではないでしょうか。反省させられます。
現在は金属にかわる審美的に修復できる材料ができ、そのよい材料を使った治療を自ら選択できる時代になったのです。
※ セラミックIn On の治療例→ こちらの治療例へ>>
セラミックインレーの利点
むし歯を削除したあと形成し、歯型を取り、石膏模型上で製作された金属をインレーといいます。
俗に「小さな銀歯、銀のつめもの」といわれます。
たべものを噛む時に咬合力の加わる奥歯の比較的小さなむし歯が「インレー」の対象になります。
最近は天然歯と同じような色調で治したいという患者さんの希望でセラミックインレーの治療が増えています。
また既に銀歯のインレーが装着されている場合も交換が可能となりました。
<利点>
- 審美性の回復に優れています。
- 耐久性、耐摩耗性に優れていて着色がありません。
- 生体の拒否反応も無縁です。
セラミックインレー8年後の予後
修復後のむし歯の再発を防ぐというだけでなく、患者さんの審美性の改善に対する要求から金属をセラミックに換えることも増えています。
奥の銀歯の前のオールセラミッククラウン
H21年装着 現在H23年2年後
もうひとつ手前のオールセラミックインレー
H15年装着 現在H23年8年後
この患者さんの色調は非常に明るく色出しに苦労しました。
(写真のミラーの中の歯の色は茶色に見えますが、実際はもっと明るいです)
口腔内の状態は各個人によって違っていますので、治療期間・費用は異なります。
変色しないセラミックと変色する保険プラスチックの違い
当医院に初めていらした方の口腔内写真です。
■ 変色しないセラミックインレーと変色する保険のプラスチックの違い
主訴は「3か月前治した奥から3番目の歯がまた痛くなった」
とのことです。検査してみると痛みの原因は奥から2番目の歯にむし歯ができていたことでした。
しかし歯科医師として私がみる問題は、
3か月前治したプラスチック(保険治療)治療です。プラスチックは、すぐにに汚れがついて変色しやすいです。
本例の場合は、かろうじて歯らしい凸凹はありますが、咬むことによってそれもなくなりつつあります。
ということは3か月間で咬む位置は、最初と比べ変化してしまったということです。
プラスチックは軟らかいのです。
歯には凹凸があるのが自然でかみ合わせが安定します。奥歯の咬合面に大きなプラスチック修復は、問題が出やすいのです。
■ 変色しないセラミックインレーの3年後
定期検診にいらした方の口腔内写真です。
1番奥の歯にセラミックインレーが入っています。
ぱっと見ただけでは天然歯とセラミックインレーは区別がつきません。
上記の症例写真マイクロスコープ強拡大
H20年にセラミックインレーをSetしました。
現在H23年、3年後の予後です。
セラミックは、プラスチックと違い色が変わるということはありません。
奥歯のセラミック治療いろいろ
■ セラミックOnとダイレクトボンディングのコラボレーション治療
「歯が欠けた」と来院された患者さんの写真です。
大きく欠けていてプラスチックの修復物が少し残っています。
手前の犬歯は、色の合わないプラスチックがついています。
プラスチックを取り除いています。
印象前(型取り前)
欠けた歯はダイレクトボンディングとセラミックOnのコラボレーション治療。
手前の犬歯はダイレクトボンディングで修復しました。
次回、セラミックOnをセットする予定です。
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■ セラミックOnとソフトデンチャーのコラボレーション治療
上記のセラミックOnセット 咬合面から
セラミックOn 咬合面 マイクロスコープ強拡大
遠心面から
写真は、セラミックOnとダイレクトボンディングのコラボレーション治療のSet後です。
■ この方にセラミックOnをセットした理由
『少しでも自分の歯があった方がいい。歯がなくなると悲しい。奥歯の歯のない所にインプラントはおっかないから嫌。針金のついた入れ歯は見た目が悪いから嫌。』
という希望を考慮した結果です。
各個人によって口腔内の状態が異なるため、治療期間・費用は違ってきます。
・唇側に歯質が残っている、内側にはほとんど歯質は残っていない。
・奥歯がなく入れ歯が必要。
ソフトデンチャーの利点
例
この方の奥歯には、ソフトデンチャーを選択しました。
※ソフトデンチャー(ノンクラスプデンチャー)自費
入れ歯を引っかける金具(バネ)がなく、軟らかい入れ歯
ソフトデンチャーの利点
ソフトデンチャーなら入れ歯の鉤歯(金具をひっかける歯)に多くの負担をかけずにすみます。
もしも奥の歯のない所に従来の金具付き入れ歯(保険)を入れる予定でしたら、
入れ歯の鉤歯にあたる歯は、金属のクラウンかMBになります。
入れ歯の鉤歯になる歯にセラミックOnでは強度に欠けます。
1本の歯の治療であっても、その両隣在歯の状態、欠損部位とその本数、歯並び等を考慮してSet物を決めています。
電話で「奥の金属を1本だけ白くしたい、できますか?」「1本色が変色していて治りますか?」
等のお問い合わせがあります。
全体を診てみないと希望の1本だけの処置で可能か、複数歯の治療になるか、どの材料を使うか、などわかりかねます。
かかりつけの歯医者さんに希望を伝え、全体の検査をし、Bestな治療をされることがなによりだと思います。
カメレオン効果って何?
このHPで何度も言っているMI(最小限の削合で最大限の効果)は、早期発見、早期治療で良い結果がでます。
必要最小限の介入治療で修復された歯の寿命は大きくアップします。
また最小限の削合治療は健全歯質を多く残しますので、カメレオン効果(回りの物体、色と同化する)が出て、審美修復が成功します。
反対にむし歯が大きくなり、修復部位も大きくなると歯質と修復物の一体化が難しくなります。
※カメレオン効果は、、セラミックIn・ダイレクトボンディング等でみられます。
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