どうして何度も繰り返し、口内炎ができるの?
質問 「数年前から、いつもどこかに(舌、歯肉、頬粘膜など同時に)多数の口内炎ができるんです」
32歳 男性 サラリーマン
数年前、こう言って来院された患者さんがいらっしゃいました。
答えは最後です。
最初に口内炎とは何か?さらっておきましょう
再発性アフタ(口内炎)は、一般的に1~数個の口内炎が周期的に同一部位またはその近辺に反復して出現するものです。
原因は不明で、誘因は口腔粘膜の咬傷などの外傷、疲労、精神的ストレスなどのほか、女性では性周期に関連することから、性ホルモンの影響が強いものもあります。
好発年齢は20~30歳代で、男女比は1:2で女性に多くみられます。
口内炎の5つの原因
1 疲労
疲れによる免疫力の低下、睡眠不足、栄養不足(ビタミンB2が欠乏すると口内炎ができます)
2 精神的ストレス
3 口腔粘膜の外傷
入歯や矯正器具、とんがった歯が接触したり頬の内側を噛んでしまったりしたときの細菌の繁殖、熱湯や薬の刺激などが原因でおこる口内炎です。
4 ホルモン異常
女性では、性周期に関連することから、性ホルモンの影響が強いとされています。
5 唾液の低下
唾液には、抗菌成分がたくさん含まれており、唾液に低下は連鎖球菌の繁殖につながり口内炎を誘発します。
口内炎の5つの治療法
口内炎は、有痛性の潰瘍を形成し、約1週間で治りますが、その間に別の場所に発症することもあります。
1 自然治癒を待つ
栄養・睡眠を十分にとり疲れをためないようにする。
2 患部を清潔に保つ
口の中の細菌の繁殖を抑えるために殺菌・消毒効果のあるうがい薬を用い、口腔内全体の清潔を保つ。
3 副腎皮質ステロイド軟こうを塗る(商品名:アフタゾロン)
4 副腎ステロイドパッチを貼る 患部に貼る薬です(商品名:アフタッチ)
※ 3、4ともに、一般的には、副腎皮質ステロイド軟こうが処方されますが、長期に使用すると副腎皮質ホルモンの副作用が出るため妊産婦には使われません。
5 漢方薬
6 ビタミン剤
細菌は、漢方やビタミン剤でのコントロールが考えられています。
ベーチェット病かも?4つの症状のポイント!
質問 32歳 男性「どうして何度も口内炎ができるの?」
答え 再発性アフタ(口内炎)で、考慮しなければならないのはベーチェット病です。
口腔内の再発性口内炎は、ベーチェット病の初期症状でもあり、発症は30歳前後の男性に多いため専門医の診断が必要です。
ベーチェット病の4つの症状
1 再発性口内炎 これも原因不明で、口腔粘膜の再発性口内炎以外に
2 皮膚症状 結節紅斑などの皮膚症状
3 眼症状 虹彩毛様体炎あるいは網膜ブドウ膜炎などの眼症状
4 潰瘍 外陰部の潰瘍などを主症状とする疾患です
その他、関節炎、副睾丸炎、消化器血管神経異常などの症状がでる場合があります。ベーチェット病は、口内炎症状にとどまらず全身症状を呈し、難治性であるばかりでなく、失明率も40%くらいで、全身の重篤な臓器病変を招くことがあります。
なかなか治らない、何度もできる口内炎と上記にあてはまる症状があった場合は、すぐに専門医の診断をうくて下さい。
ベーチェット病の医療費助成
ベーチェット病は「難治性の患者に対する医療費の法律」における指定難病に定められていますので、最寄りの保健所で手続きを行い認定されると指定医療機関における医療費自己負担分(保険診療)の一部が国や都道府県から助成されます。