○歯医者特有のニオイの元は何ですか?

○歯医者のニオイが好きなんです。何の薬ですか?

○歯医者のニオイを嗅ぐと痛みが出ます。

臭覚

臭覚は、感情や記憶に強く結びついていますので、歯医者のニオイで、痛さを思い出したりするのです。

関連記事

<<臭覚と感情・臭覚と記憶について

 歯医者さんに行ったときにまず感じるのはあのなんともいえない香りです。
消毒薬のような漢方薬のような、一度嗅いだら忘れられない香りです。

クローブ(丁子)

これはクローブ丁子 ちょうじ)と呼ばれるフトモモ科植物の花からとれる精油の香りがその正体です。古くからクローブ油は歯痛を和らげる薬として使われてきました。

その主成分であるオイゲノール(歯医者さんの間ではユージノールという表記に統一されています。)
には局所麻酔作用があり、むし歯に詰めて痛みを和らげる方法は現在も用いられています。

クローブ油は歴史的にみて相当古くから利用されてきたようで、紀元前四世紀にアリストテレスが蒸留してオイルを取る技術を記しています。
日本にも古くから伝わっていたちみえ、正倉院の御物の中にも加えられています。

クローブの原産国はモルッカ諸島といわれていますが、現在では、インドネシア、マダガスカル、ブラジル、スリランカなどがそのほとんどを生産しています。

クローブ(丁子)の効果

では何故これほどまでにこの精油は利用価値があったのでしょうか?

それは、ナツメグと同じように防腐効果と殺菌効果が高いからです。
肉の臭みを消すと同時に腐敗を防いで保存時間をかなり長くすることができたのです。

また、多くのフェノール性の化学物を含むため、腸内の殺菌効果を有していて天然の抗生物質の役目も果たします。
感染症に対して有効な薬のなかった時代には抗菌剤として欠かせないものだったのです。

中世のヨーロッパに蔓延したペストに対しても効力を発揮し、ナツメグと同様多くの命を救った偉大な薬物であったようです。