・なぜ、年齢と共に歯肉が下がるのか?
・なぜ、歯茎が、やせる人とやせない人がいるのか?
・やせてしまった(下がってしまった)歯肉は元に戻るのか?
と思われた方は以下の話は必見です。当医院でも歯肉退縮を心配されて来院する方が、近頃とみに増えています。
歯肉が下がらないようにするためには、何が必要だと思いますか?
年齢と共に下がってくるのは、当たり前なのでしょうか?
その理由は様々ですが、歯並びが悪い(歯と歯肉の不調和)は、年齢問わず、歯肉を退縮させます。
また最近では、電動ブラシの使用が増えています。
薄い歯肉、薄い骨の部位は歯肉を退縮を起こしやすい部位です。そこを電動ブラシの力で毎日ゴシゴシみがくと必ず歯肉は退縮してきます。
■ なぜ、歯科医師は電動ブラシを使用しないのか?
細かい所がみがけないのと、電動ブラシにはやわらかい毛のブラシがないため、歯肉退縮を心配するからです。
つまり、プラークの取り残しと歯肉退縮の心配をしているのです。
歯肉退縮の原因ってなに?【歯肉退縮の6つの原因】
1.歯周病を放っといて歯肉が下がる
歯と歯の間にたまったプラーク(歯垢)が炎症を起こし、歯を支えている骨が少しずつ溶け始めます。骨が溶けやせてしまうと同時に歯肉もさがってきます。
2.歯周病のオペ(切除的療法)の術後
切除的療法の術後は、歯肉がひきしまりますが、ダメージも受けているため歯肉退縮する場合があります。
※うすい歯肉、うすい骨の部位は歯肉退縮をおこします。
3.歯並びが悪い(歯と歯周組織の不調和)
一部の歯が、慢性的に強くかみ合わさっている場合は、その部分に力が過剰にかかり、同時に歯肉にも影響を及ぼし歯肉は下がります。
例 八重歯など歯列から飛び出ているため、骨が薄く歯肉退縮を起こしやすい部位です。
4.オーバーブラッシング、不適切なブラッシングによる外傷
虫歯を防ぐためによかれと思ってゴシゴシと強くみがく方がいらっしゃいますが、力を入れてみがくことで軟らかい歯肉に刺激がいき、毎回のオーバーブラッシングで歯肉退縮していきます。
※近年、電動歯ブラシの使用が増え、歯の表面はきれいにみがけていますが、それと同時に歯肉退縮をおこしている人もみかけます。
5.3、4の複合
6.加齢変化
1歯のみ歯肉退縮がおこるわけでなく、全歯にだいたい均等に歯肉退縮が見られます。目に見えて大きな変化は感じないかもしれませんが、10年で2mm歯肉はさがっていくといわれています。
■オーバーブラッシングの危険!!
必要以上の回数、時間、力を加えるブラッシングのやり過ぎが歯肉にダメージを与えていることがあります。これを「オーバーブラッシング」といいます。最近では、電動ブラシの使用が増えていますが、薄い歯肉、薄い骨の部位は歯肉退縮を起こしやすい部位です。そこを電動ブラシで毎日ゴシゴシみがくと必ず歯肉は退縮していきますので気をつけなければなりません。
■歯肉退縮からくる2つの合併症!
1 知覚過敏
歯肉が退縮し、歯が長く見えるほか、根っこが露出している場合は、冷たいものがしみて知覚過敏を起こしている方が多くいらっしゃいます。
2 根面カリエス
歯の根っこが露出している場合は、その部位は硬いエナメル質ではなく、セメント質や象牙質ですので非常に虫歯になりやすい状態です。
※根面う蝕がお年寄りの多いのはこういうことからです。
歯肉退縮の4つの治療法
原因を除去して歯周組織の回復を促します。
1 歯周病予防
歯周病の予防に心がけ定期クリーニングをかかさないようにしましょう。
歯石がついている部位は、腫脹、発赤、出血を繰り返し、骨を溶かし歯肉が退縮していきます。
2 歯並びが悪い人は、矯正治療専門医へ相談して下さい。
3 やわらかい歯ブラシ
ちっともみがけていない、プラーク(歯垢)がいっぱいついていて、歯肉炎、歯周炎を心配したくなる人がいる半面、過度にブラッシングし、歯肉を痛め、歯肉退縮させてしまうブラッシングをしている人もいます。
硬い毛の歯ブラシでゴシゴシ何度もみがくと歯肉は退縮していきます。
もう1度正しく汚れをおとし歯肉を傷つけないブラッシングをしているか確認して下さい。
4 咬みあわせが原因
強くあたっている咬合(咬み合わせ)が歯肉退縮の原因とかbbが得られる場合は、咬み合わせを調整することで歯肉退縮が改善することがあります。
歯や補綴物をほんの少しだけ削って調整するのが一般的で、0・1mmの調整でも歯のあたる感覚がだいぶ違います。
自分で治す歯肉退縮! 歯肉のクリーピングを促すブラッシング法
※クリーピングとは
ブラックトライアングル(歯と歯のすき間ができ黒く見える)だった部分が健康な歯肉によってうまること。
これを、クリーピング現象といいます。
クリーピングは天然歯やセラミックスのような表面性状が滑沢なものに対して認められます。
ブラッシング法
目標 :歯肉退縮していない部位を観察し「こうなりたい」という目標を見つけて下さい。
握り方 :持ち手の下のほうを持って下さい。力を入れないためです。
ブラッシング圧:力が入り過ぎて歯肉を傷つけていないか確認して下さい。
動かす方向 :歯肉に沿わせ小さく往復させます。八重歯のところは、縦にみがいて下さい。
赤染め :「弱い圧でも毛先があたればおちる」ことを確認して下さい。今回はみがけていない所を確認するのではなく、弱い圧でもみがけることを確認して下さい。
歯ブラシの種類:毛先がひらいていないか確認して下さい。
歯ブラシの選択:軟らかく毛先が細くなっているブラシが、よいです。
※参考商品 株式会社ジーシー
ルシェロ歯ブラシ