口蓋隆起の意外な原因と治療法
・上顎をベロでさわったら出っ張りがあった!
・歯医者の入歯になったら大変だよと言われた。どういうこと?
・ゴツゴツした骨が上顎にある、誰でもあるの?
ゴツゴツした骨の出っ張りの症状 口蓋隆起の症状
口蓋隆起は、上顎の真ん中の位置する骨のふくらみで、一般的には紡錘形(円柱状で真ん中が太く、両端に従い細くなる形)ですが、結節状(エンドウ、クルミ程度の大きさの隆起物)や扁平状(ひらべったいこと)もあります。
べろで触れたり、指で触ったりすると硬く、痛みはありませんが時間とともの少しずつ大きくなる傾向にあります。
自覚症状ないまま、少しずつ大きくなるので、ある日突然、気付いたり、歯医者で指摘されたりして驚く方が多いようです。幼少期にみられることはなく、盛り上がって顕著になってくるのは、40歳以降とされています。
口蓋隆起の原因
原因は明らかでなく、遺伝、咬合機能の影響、栄養障害、歯ぎしり、くいしばりが強い方に多くみられるといわれています。
誰でも歯ぎしりするの?どうして歯ぎしりするの?
神奈川歯科大学 学長 佐藤 貞雄先生 資料より
現代社会の中、急激な社会構造の変化に伴い、ストレスに起因した疾患が多発しています。慢性ストレスにより内臓疾患や免疫系の疾患を誘発し、さらに過剰ストレスによって脳障害も加速しています。
動物にとって噛むという行動は、攻撃性の表現です。一般的には動物は敵に遭遇すると最大のストレスを感じ、それに対して攻撃的に噛むという行為でストレスを発散しています。
人間の場合、攻撃は大脳皮質によって抑制され、情動ストレスは精神領域に蓄積されます。しかしストレスの蓄積は生命維持にとって重大な問題です。人間の場合は睡眠中にブラキシズム(歯ぎしり)をすることで、ストレスを発散し、健康を維持しているものと考えられます。
高度に進化したヒトにおいては、攻撃性の抑制によって動物が本来持っていた咀嚼器を用いる攻撃性の発現が、睡眠ブラキシズム(歯ぎしり)に変化したものと考えられます。
Dental Compression Syndrome(DCS)とは?
歯ぎしりとかみしめにより引き起こされる様々なダメージの集まりをいいます。
Gene McCoy博士は、
『人口の90%が、DCSを持っているにもかかわらず、自覚している人は5~10%にすぎない』といわれています。
『ストレスは、日中だけでなく就寝中も続き、それを発散・緩和しようと歯ぎしりやかみしめ、くいしばりとなって現れます。その強い力が、歯・歯列。顎口腔系へ加わって、自らの身体に影響を及ぼすとされ、その1つが口蓋隆起かもしれないとされています。』
ゴツゴツした骨はとったほうがいいの?
一般的には、手術でとる必要はないですが、ゴツゴツした骨の部分の歯肉は薄くなっているために、入歯があたってしまい、痛みが出る場合は、手術を選択するとよいでしょう。
■ 口蓋隆起の手術が必要な4つの症状
1 入歯があたって痛くなる時
2 口蓋隆起が大き過ぎて入歯が作製できない時
3 気になって発音しづらい
4 食べ物がくっつきやすい、または取りづらく不衛生になる時
■ 口蓋隆起に手術方法
1 口蓋隆起の周りに麻酔をします
2 上顎の骨を開いて口蓋隆起を見えるように出します。
3 バーやノミを使って、削って切除していきます。
4 切除面をツルツルにします。
5 上顎の歯茎を縫って終わりです。