白板症の原因・症状・治療

頬の内側が白いです。大丈夫でしょうか?

当医院でも昨年、患者さんの中で白板症の方がいらっしゃいました。以下のような状態が口の中に見られる場合は、よくお読み下さい。

・頬の内側が少し白くなっています。

・奥歯の歯茎の一部が白くなっています。

・歯茎が白くなっています。貧血?ガンですか?

白板症

写真 東京歯科大学臨床検査学教室教授 井上 孝先生資料より

白板症 leukoplakia

WHOの口腔前癌状態に関する委員会での定義では、

『白板症は摩擦によっても除去できない白斑で他の診断可能な疾患に分類できないもの』

(Pindborg.1968)とされています。

白板症は何が原因なの?

全身的因子→ビタミン欠乏、ホルモン変調、カンジダ菌、細菌

局所的因子→機械的・化学的な慢性刺激(タバコ、義歯、歯牙の鋭縁、咬癖、嗜好物、アルコール、ガルバニー電流)

白板症の原因はまだはっきりしていません。しかし、長期的・慢性的な複合的な、なんらかの刺激によって誘因され発症します。

どんな人がなるの?

日本の口腔癌患者数は、年間約6900人で、全ての癌の1%といわれています。(2005年調査より)

年齢的には、60代が最も多いといわれ、男女比は、3:2で男性に多くみられます。

白板症ってどんな症状?

発症する部位としては、歯肉、頬粘膜>硬口蓋・口腔底>口唇の順にあげられます。

これらの部位の粘膜に熱いものを食べて火傷したわけでもないのに、おぼえもないのに白色になっていたら白板症の疑いがあろます。

症状

色→  淡い白色~灰色ときには褐色を帯びた白斑

範囲→ 限局~広範囲まで白くなることもあります。

部位→一部~多くの部分に広がっていることもあります。

境界→不明瞭~明瞭に盛り上がっているものまで様々です。

表面→平滑~凹凸、しわがあるもの、乳頭状や一部赤くなっているものもみられます。

・ 自覚症状がなく、偶然に気付くことも多い病気です。

・ 頬の裏などの粘膜の一部が白くなります。こすっても取れず、場合によっては痛んだり、しみたりすることもあります。最初のうちは、口内炎と勘違いすることもありますが、口内炎のように1~2週間で治ったりせず、少しずつ範囲が広がっていきます。

・ 白斑のみでは、痛むことはありませんが、紅斑が混在するものは、痛みが出るようになります。

白板症になったらどうなるの?

一般的には慢性の経過をとり、徐々に増大するもの、縮小するもの、変わらないもんがあります。長期間経過観察中(1~15年)に悪性化したり、癌を併発するものが約5~10%みられます。

生検し調べてみます。(患部の一部を取って、顕微鏡などで調べる検査のこと。この検査の結果によって診断・治療を決めます)

角化層深部の粘膜の大きさや形、細胞の並びに異常があると癌化することがあります。この状態を「異形成」といい「前癌病変」の症状であるためすぐに専門病院での治療が必要です。

白板症の治療ってどういうの?

原因となるものが明らかであれば、それを除去します。病巣が小さいものは、外科的に除去するかレーザー治療で対応します。広範囲にわたるものは、皮膚移植が必要な場合もあります。

白板症は必ずしも癌になるわけではなく、癌にならなければ治療の必要もありません。また経過観察を定期的に行えばたとえ癌になっても早急に対処することが可能です。

原因が確定されていないので、これといった絶対的予防法はありませんが、口腔内に刺激を与えるものを避けることが予防につながります。