なぜ、神経取った歯がまた痛くなるの?
患者さんが「歯が痛くて、少しゆれる」と言われいらっしゃいました。
金属冠をはずして、根の治療をはじめました。
Q「どうして、神経取った歯がまた痛くなるの? 神経が取れていなかったの?」
A 神経が取れてなかったら、さわったら飛び上がります。
1度なくなった神経は、復活しません。
患者さんの疑問は、「むし歯があると神経にさわって痛い」「神経があると痛みを感じる」というイメージからきているものと思います。
痛みにも種類があって、簡単に分けると
1 虫歯の痛み
2 親知らずの痛み
3 歯周病の痛み
4 知覚過敏
の他に根の中が細菌感染をおこして再度治療が必要な痛みがあります。
細菌感染の原因
1.かぶせものの縁から、あらたにむし歯が入り込み、根の中が細菌感染をおこす場合
2.以前、拡大・消毒してゴムのつめものをしておいても、残ってしまった細菌(細菌は目で見えないほど小さいです)が、身体の抵抗力がおちている時に力をつけてしまった場合
こういった場合痛みが出てきます。神経がない歯でも根の中で細菌感染をおこすと痛みがおこります。
〈※状態が悪いな、と思われる場合でも、患者さんの抵抗力が強いのか、症状が悪化ないし、発症しない時もあります。)
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この方は、なかなか痛みがおさまらず
「帰ってから痛くて痛くて、夜になると痛くて。薬、もらえませんか?」
治療しているこちらも、つらいです。
夜になると痛いというのは、温かくなると痛むということです。
細菌の活動が、活発な証拠です。
数日間続けて拡大・消毒をして痛みがおさまってきました。
治療したあとの痛み
患者さんの中には、「痛くて歯医者に行ったのに、痛みがなくなるどころか、よけいに痛くなった。腫れた。」
とびっくりされる方もいると思います。
歯の中は、ふだんは空気がありません。
そこに器具を使って根をつつき掃除して消毒する刺激で細菌がより活発化してしまうことがあります。
空気のなかった根の中に拡大・消毒していると酸素が入ります。
酸素を与えると動きを活発化する細菌は急激に増殖し始めます。これが術後疼痛の原因です。
腫れた場合は、うみを出して薬を飲むとウソのように痛みはなくなります。
根の治療は、さまざまで、痛むことなく治療が終えられる場合と治療中痛みがでる場合があります。
根の治療中は、痛みが出るとつらいでしょうが、消毒を繰り返し、根気強く治療を続けて下さい。