・電動ブラシは、すごく汚れが落ちる

・電動ブラシは、歯みがきが楽

・手みがきより、電動ブラシの方が落ちる

 電動ブラシ

上記のように思われている方は、危険です!!以下をしっかり読んで下さい。

 むし歯が原因でない歯の表面の損失は、生活習慣に影響される疾患であり

 咬耗(歯ぎしり くいしばり 噛みしめ)

 2 摩耗(過度なブラッシング)

 3  酸蝕歯(科学的歯質の溶解)があります。

酸蝕歯は、欧米では広く認知されていますが、日本では認知度が低いのが現状です。
最近は、健康志向の向上と若年層の嗜好品の変化によって、むし歯ではなく酸蝕による疾患が見逃せない問題となっています。 

身近な食物が歯を溶かす!

市販の飲料水の73%もがエナメル質臨界PH5.5を下まわる値を示すそうです。
PH5.5以下が問題なのです。
(PH2.2の炭酸飲料は、酸性度がかなり高く飲み続けると歯を溶かしてしまう値です。)
どういうことかというと、気軽に常飲していると歯が溶けるということです。

ビール
食酢
炭酸飲料 これらは、PH5.5以下の値を示します。だから問題なのです。

例外


牛乳
お茶

また調味料も同様にエナメル質臨界PH値を下回る値を示します。

調味料例 

ドレッシング 和風 中華 洋風 レモン ポン酢 醤油

主訴「下の歯が冷みる」といらした若い女性です。
歯磨きをしている女性
典型的な酸蝕歯です。
『酸っぱいものを、よく食べますか?』
「いいえ、食べません」とお答えになります。経験上、抽象的な質問には抽象的な答えしか返ってきません。具体的に問いかけると具体的な答えが返ってきます。
『お肌によいビタミンCの顆粒剤を飲んでいませんか?
ビタミンCの飲料水とかコーラや梅干し、健康に良い食酢などはどうですか?
ゆずやイタリアンドレッシングをかけて食べませんか?』
こううかがうと 

「肌によいので毎日レモンを1個と皮膚科で出してもらったビタミンの顆粒剤を夜飲んでいます。」との返事でした。 

またある方は
「家族全員で毎日食酢を飲んでいます。身体が丈夫になりました。」といわれました。
「毎日梅干しを3個食べます。」
「部活中はずっとポカリスエットを飲んでいます。部活中飲んでもOKなんです。」とおっしゃった方もいました。

酸蝕歯の予防

下記に意識して欲しいことをまとめました。

意識の改革

ビタミンCが肌によいことも、食酢が身体によいことも事実です。
その反面、滞留していると歯を溶かすこともまた事実です。
熱中症予防のための水分補給は大切ですが、酸性傾向にあるスポーツ飲料を多量に高頻度飲んでいると酸蝕歯になる可能性も高くなります。
酸っぱいものを食べたら、口をゆすいで歯に残さない気をつける意識を持って下さい。

歯磨き

酸っぱい食物、飲み物のあとの歯磨きは避けてください。

酸性食品の飲食後はエナメル質が軟化しています。そこにゴシゴシ歯みがきをするとエナメル質が削られてしまいます。
酸っぱいものを飲んだり、食べたりしたらよく水で口をゆすいで下さい。しばらくしたら歯みがきをして下さい。

適切な歯ブラシ、歯みがき粉を選んで下さい

ある患者さんは、長期間ビタミンC入りの炭酸飲料を常飲し、ヤニ取り&美白歯みがき粉を付け電動歯ブラシでみがいていたそうです。

その方が
「歯の表面が黄色くなってきた」と来院されました。

酸性の食品

美容・美白のためによかれと思い込んで続けていたことが、
表面のエナメル質を削りとり、黄色い象牙質が見えてしまう結果になってしまいました。

美白とうたわれている歯みがき粉は研磨剤が入っていますから長期間過度に使い続けていると歯は削られてしまいます。
軟らかいブラシを使用し、多量の歯みがき粉の使用はひかえて下さい。

どの方も健康・美容に熱心で、それが原因で酸蝕歯をつくりあげているとは思ってもいません。
酸蝕歯の認知度も上がり、正しいセルフケアをしていただきたいと願っています。