動物の歯
犬の唇なぜ黒いの?
「なぜ犬の唇は黒いんだろう?」
常々疑問に思っていましたが、わかりませんでした。
最近、歯科医師会の資料にその答えが載っていましたのでお知らせします。
監修 中野愛彦先生(歯学博士)資料より
写真 高山景司氏 (動物園写真館)
オオカミの歯
オオカミは、元々私たちに親しみ深いイヌの仲間です。
人が飼うようになったのがイヌで、野生のままだとオオカミです。
イヌと共通する特徴は、裂肉歯という巨大な奥歯です。
大きな肉を切り裂くための特殊な構造で、肉食動物だけがもつ秘密兵器です。
オオカミのあごは、上下しか動かさないので、口を横にしてハサミのように噛んだり、振り回したり、全身でこの歯を上手に使いこなしています。
疑問 どうして犬の唇は黒いんだろう?
答え くちびるの部分が黒いのは、白い歯を見えやすくするためです。
オオカミやイヌは上の歯を見せると「嫌い」下の歯を見せると「好き」という気持ちを表現します。
仲間とケンカで歯を使う場合も、噛みつく場所はほっぺただけ。
そこは、厚い皮膚と毛で守られ、傷つきにくいことを知っているからです。
言葉のない彼らにとって、歯はコミュニケーションの道具でもあります。
相手に歯を見せることを、人間以上に大切にしているのです。
関連記事
■豆知識
犬とオオカミに違い:人に飼いならされたイヌは、生肉・干し肉・加工肉、また野菜も食べられます。それと比べオオカミは、生肉以外は、食べません。
干し肉を食べると下痢してしまいます。
牛には歯がないって本当!?
Q.牛には歯がないって本当?!
YES NO
監修 中野愛彦先生 歯学博士資料より
写真 高山影司氏 動物園写真館
A.YES !!
正しくは、上の前歯がありません。
ウシには上あごの切歯と犬歯がありません。そのかわりに、まな板のように硬くなった歯ぐきが発達しています。
水牛の歯
草食動物の水牛は「反芻」をする動物で、上の前歯がないのが特徴です。
牛に前歯がないならどうやって食べるの?
敵のいない間に一気に草を飲み込み、安全な場所に移動してから口に戻して噛み直します。
一度にできるだけたくさんの草を口に入れるには、上の前歯がじゃまになるからです。
特に、水辺に生える硬い草でも上手に操るのが水牛です。下の前歯は草をすきやすいように前にせりだし、外側のエナメル質が分厚いため、常にエッジ(刃)が磨かれた状態です。歯肉はゴムのように弾力があり、グイッとスナップを効かせて硬い草もすき込めます。
長い舌で草を巻き込んでちぎり取ると、頑丈な上あごをまな板に、鋭い下の前歯を包丁にして、硬い草の繊維をらくらくカットします。
まるで農具のような口の構造になっているのです。
多くの動物が攻撃に使う鋭い犬歯は、水牛の場合、ほかの前歯とかわりません。
その代わりが巨大な爪ですが、武器に使うことは滅多になく、ムダな闘いはしないのが彼らの生き方です。
関連記事
トラって丸飲み?!噛まないの?
トラ ハンターの歯
トラって噛まないで丸飲みって本当?
監修 中山愛彦先生(歯学博士)資料より
写真 高山景司氏 (動物園写真館)
トラの歯
口の両側に見える大きな歯に注目して下さい。
この犬歯の鋭さには、単独で狩りをするトラの習性が大きく関わっています。
トラの狩り
自分だけの力で確実に獲物を捕えるには、すばやく相手に致命傷を与えなければなりません。
そこで活躍するのがこの必殺の歯です。
ひっそりと獲物にしのび寄り、飛びかかったら首の後ろをガブリ!
犬歯が延髄を突き刺し、速攻で息の根を止めてしまいます。
トラの仲間のネコが、首の後ろをつかまれるとじっとしているのもこれのなごりです。
抵抗すればもっと深く咬まれ、命取りだと本能でわかっているのです。
トラは丸飲み?!
そのほか、トラは「肉を切り裂く」ための歯(裂肉歯)が発達し、硬い肉でも包丁のように切り取ります。
その代り「噛み砕き、すりつぶす」ための臼歯(奥歯)の数は減り、ほとんど噛まずに丸飲みにします。
これは肉食動物の特徴で、私たち人間に立派な臼歯があるのは、よく噛んで食べる動物である証です。
関連記事
馬がウマヅラなワケ
シマウマの歯
シマウマの歯って伸び続けるって知ってた?
監修 中野愛彦(歯学博士)資料より
写真 高山景司 (動物園写真館)
現在のウマは、『しまが消えたシマウマ』で、長いルーツをたどると、シマウマはウマの祖先だといわれます。
その進化に大きな役割を果たしたのが、がっちりした大きな歯です。
大昔のウマ
大昔のウマたちは、今より丸顔で歯も小さく、やわらかい葉を食べていました。
ある時、大規模な気候の変化によって緑の大地は枯れ、後に残ったのは乾燥した草原だけでした。
硬い草を噛むことも消化もできない彼らは、あえなく絶滅してしまいました。
ウマヅラになった歴史
しかし、一部のウマやシマウマは、硬い草でも噛みくだき、すりつぶせる巨大な歯を発達させていきました。
大きな歯を支えるためには、歯ぐきに埋まる歯の根っこも長くしなければなりません。
上の歯の根っこがある位置は、目の真下です。
丸顔のままでは、長い歯の根っこが目を突き刺してしまうため、口そのものが前へ前へ移動し進化して、おなじみの長い顔になりました。
『ウマヅラ』といわれる彼らの顔には、命がけの進化があったのです。
硬い草を噛み砕いて歯が擦り減るため、シマウマの歯は年に2~3mm伸び続けます。
関連記事
入試に勝つ!トンボが応援!トンボの顎
トンボ
入試に縁起がいいトンボ! 勝ち虫!
地球動物図鑑 山際寿一先生監修より
トンボのホバリング
トンボの飛行能力は、ホバリング(空中停止)から急旋回、高速飛行等自在にとんでいます。
航空工学の観点からみると、これはすごいことです。
ホバリングから右旋回に移る時は、各羽の異なった動きによって右旋回のための空気力を生成し、しかも同時に自重を支えるための揚力や前飛行のための推進力も生成しています。
国内外でトンボの動きを観察し、飛翔ロボットや飛行機の技術に役立てているそうです。
トンボは勝ち虫
またトンボは勝ち虫と呼ばれ縁起物であり、前にしか進まず退かないところから不転退(退くに転ぜず、決して退却しない)の精神を表わすものとして特に武士に好まれました。
戦国時代には兜や鎧、箙(えびら)刀の鍔(つば)などの武具、陣羽織や印籠の装着にトンボを用いられています。豊臣秀吉の陣羽織にはトンボの柄があるそうです。
最近は「入試に勝つ」と縁起をかついでトンボgoodsを身に付ける受験生もいるそうです。
トンボの顎
食性は肉食性で蚊、ハエ、蝶あるいは他のトンボなどの飛翔昆虫を空中で捕獲します。
歯はありませんが口には鋭い大顎が発達しており、獲物をかじって食べます。
トンボの曲芸飛行
個別に動かすこともでき、空中静止や後ろ向き飛行など、トンボの飛翔能力を高めています。
飛ぶ速度は30㎞に達することもあります。
すぐれた視覚
トンボの巨大な複眼は、3万個のレンズでできていて、優れた視覚と広い視野をもたらします。力強い、噛みつくのに適した口器は、トンボが肉食性であることを示しています。
関連記事
妖怪ウオッチ~猫の歯
妖怪ウオッチ
ある夏の日、主人公(ケータ)は、妖怪執事ウィスパーと出会い、妖怪を見ることの出来る妖怪ウオッチを手に入れます。至る所に出没する妖怪と友達になり、時に彼らと協力して、人々の悩みや問題を解決しながら物語が進んでいきます。
妖怪ウオッチに出てくる妖怪たち
☆ケータ(天野景太)
主人公。
さくらニュータウンに住む小学5年生で、ウィスパーと出会い、妖怪ウオッチを手に入れ不思議な妖怪ワールドを体験していきます。
☆ウィスパー
執事を名乗り、「妖怪パッド」を使い、主人公ケータにアドバイスを与えます。
☆ジバニャン
プリチー族。
車に撥ねられて死んだ地縛霊の猫妖怪。生前の名前は、「アカマル」
1人称は、「オレっち」 語尾に「~ニャン」をつける。アニメ版では、チュコボーが好物で、「ニャーKB48」の大ファン。
猫の歯
成猫(永久歯)で上あご16本、下あご14本の合計30本の歯が生えています。子猫(乳歯)は26本です。
猫には、すりつぶしたり、噛み砕いたりする歯がなく、食べ物は丸飲みします。